おとなが読む幼年童話レポート(新)

 
ここでいう幼年童話とは、いわゆる「絵本」よりは文字が多く、いわゆる「読みもの」よりは
絵が多い、主に小学校低学年前後前後を対象につくられた、挿絵たっぷりでページ数が
そこそこある、子どもが初めて1人で(も)読むにふさわしいと言われるような本です。一般

的には、絵本から読みものへ移る途上にあるものと捉えられているようです。

ペンギンハウスでは、これらを絵本を卒業した子どもが読むものと考えてはいませんが、

たしかに読みものとしても児童文学の入口にあるもので、絵本以外の本のオモシロさを

知るきっかけにジャンルだと思います。

この重要な役割を担う幼年童話には「絵本」「読みもの」の範疇ではくくれない独特の世界

とおもしろさがあるはず。大人がそれを知らないなんてもったいない。みんなでゆっくりと

音読して、感想などおしゃべりしあいましょう。



  
2005年 2月17日(木) 18日(金) 10:30〜11:00 参加者3人
 
● 月のテーマ  ポプラ社 「おはなしバスケット」
                小学校初級・中級向 21×15p 各945円(税込)
 
ひとり読みをはじめた子どもたちが、童話の世界の楽しさと豊かさを
たっぷりと味わうことができる幼年童話シリーズ。リズミカルな文章、
新鮮なアイディア、のびやかな絵による楽しいお話を夢中で読んだ
あとは、子どもたちの心に夢がいっぱい広がります。(出版社コメントより) 
1999年から2005年2月現在で20点出版されています。
 
▼シリーズの中からこの2冊を読みました。どちらも同じ作者によるもので、
お話も続きもの。シリーズの中のシリーズといったところ。どちらも1年を
通して、姉、妹の興味の世界を見せてくれています。

  
 
松居スーザン・作 松成真理子 ポプラ社(おはなしバスケット7) 945円(税込) 2002年
みいちゃんに見つけられるまで、宝物たちは何をしていたのでしょうか?
みいちゃんと宝物たちとの出会いを描いた小さな7つのお話集。
 
読んでみて・・・
みんなで1章ずつ読みました。反対から読めば、みいちゃんのバタークッキーの
缶に入れられた宝物たとは、こうやってみいいちゃんの元にきたのです・・・という
お話です。みいちゃんの宝物って、ほとんど全部拾ったものなのよね。子ども
のころ、拾うことが大好きだったことをみなさん思い出したようで、自分のお子
さんが変なものを拾ってくると、つい「汚いから捨てなさい」などど言ってしまう
ことを反省されていました。買って集めたものじゃなく、鳥の羽や、取れたボタン
など、こういうものが宝物になるって子どもならではですよね・・・。
 
松居スーザン・作 松成真理子・絵 ポプラ社(おはなしバスケット10) 945円(税込) 2002年
ほうきごっこ、クマさんごっこ、もうふごっこ、ネコごっこ・・・。きいちゃんは何にだって
なれるのです。幼児の自由な遊びの世界を愛情細やかに描いた幼年童話。
 
読んでみて・・・
時間の関係ですべての章は読めなかったのですが、どの章をとってみても
きいちゃんのまわりの大人が優しくてね〜、そんなところで参加者のみなさんは
またもや反省されていたようで(笑)。この本にはきいちゃんのごっこ遊びが
詰まっています。ごっこ遊びといってもお医者さんごっこやおままごとのような
ものではなく、きいちゃん自身がいろんなモノに変身してしまうというもの。
それに付き合わされる大人は、余裕がないとついつい「うるさいな〜」
と思ってしまいますが、きいちゃんを取り巻いている人たちは温かな目線を
向けているんですよ。
 
●全体を通して・・・●
みいちゃんときいちゃんの二人の姉妹の物語。最初のみいちゃんのお話は、
みいちゃんが小学校にあがるまでの1年間を描いていて、妹のきいちゃんの
お話は、お姉ちゃんのみいちゃんが学校にあがってからの1年間を描いて
います。どちらも、お話はもちろんなんだけど、松成さんのイラストがステキです。
全ページカラーではなく、モノクロの挿絵が続いたあとに、パーッとカラーイラスト
が入る、すごく効果的な挿絵のページだて。そして、参加者の方たちみんなで
うらやましがったのは、この2姉妹の育っている環境。まわりに自然がいっぱい
あって、大人たちにも余裕があって、こんなふうに幼い日々を過ごせたら子ども
たちはどんなに幸せだろうと、今の時代とこの辺り場所を照らして羨望のまなざし。
全体的にはそう盛り上がりがあるわけでもなく、淡々と日常の日々を描いて
いますが、こういう世界もいいわね〜、それに大人の目線で読むと気づかされる
ことがいっぱい!と、みなさんに喜んでいただけたようです。
みなさん、といっても今月の参加者はたった3人。風邪がはやっていて、
キャンセル続出だったのか悲しいところです。
 
<同シリーズ他の本> 最初の数字はシリーズ番号 各945円(税込)
 
 1 『なあくんとちいさなヨット』  神沢利子・作 山内ふじ江・絵
 2 『なきむしおにごっこ』 おのりえん・作 降矢奈々・絵
  3 『ぼくはおばけのかていきょうし なぞのあかりどろぼう』 さとうまきこ・作 はらゆたか・絵
 4 『こぎつねキッペのはるのうた』 今村葦子・作 降矢奈々・絵
 8 『きこちゃんとキコちゃん』 薫くみこ・作 長野ヒデ子・絵
 13 『クー』 森山 京・作 広瀬 弦・絵
  6 『ゆきだるまのマール』 二宮由紀子・作 渡辺洋二・絵
 12 『2年1組 ムシハカセ倉田ごろうくん』 那須正幹・作 はたこうしろう・絵
2005年 1月13日(木) 14日(金) 10:30〜11:00 参加者7人
 
1月のテーマ  大日本図書 「ゆかいなゆかいなおはなし」
                小学校初級向 A5判 上製 各968円 
 
1977年〜1985年に刊行された「ひとりでもたのしくよめる」を
目的に編集された全20冊のシリーズ。光吉夏弥・郁子さんが
翻訳・再話を手がけています。内外問わず、また民話・創作問わず、
いろんな分野のおはなしを、文字を大きく、漢字も小学校初級程度を
使用、漢字・カタカナにルビをふり、絵も豊富に、低学年の子どもが
ひとりでも読みやすいように編集しています。文章は縦書きです。
 
 
▼シリーズの中からこの3冊を読みました。
この3冊を選んだ基準は・・・ありません(笑)。
ま、後からのこじつけですが、外国のおはなしで、動物が主人公の3冊と
いうことで、お願いします(他にも該当するものはあるんですけどね)。
    
 
ミリアム・ヤング文 アーノルド・ロベル絵  光吉郁子・訳 1979(1969)年 968円(税込)
ある日、あばれんぼうのあかりすたちに、家を追われて困ってしまったりすのスージー。
ようやく見つけた古い家の屋根裏部屋で会ったおもちゃの兵隊たちにこれまでの
ことを話すと、兵隊たちはあかりすのところへ乗り込みました。
 
読んでみて・・・
スージーが住んでいたかしの木と、その後に住んだドールハウス、どうみても
ドールハウスのほうが立派な家だけれど、スージーの価値観はそんなことじゃ
ないんですよね。苔のじゅうたん、ホタルのランプ!(←これがすてき!)、
どんぐりのお椀がある風が吹くと揺れるような家、スージーが手間暇かけて
整えた家が、やっぱりお城なのね。物質的じゃない、心の豊かさを求める
スージーはかっこいい!そしてそれを手伝う、木の幹を行進する(登るんじゃ
ないのよ!)兵隊たちもステキ。ローベルの絵が、その魅力を引き立たせて
います。アメリカじゃこのお話はスージーのシリーズとして何冊か出ているよう
なんですが、日本じゃこの一冊しかないのが残念。参加したみなさんの感想
では「女の子が喜びそうな本!」との意見多数。これは私(イーダ)が音読
しました。
 
 
アルビン・トレセルト文  アルバート・アキノ絵 光吉夏弥・訳 1983(1965)年 968円(税込)
とらは檻から出して助けてくれたおじいさんを食べようとします。おじいさんは、それが無茶だと
言い、他の人(木、牛、道)に意見を聞きに行きますが、みんなからは、人間なんか食べられて
しまえ!と言われます。でも、その後出会ったキツネが智恵者で機転をきかせ助けてくれます。
 
読んでみて・・・
本当はひとりでも読める本だと思うのです。でもせっかく複数の参加者が
いらっしゃるのだからと、みんなで配役を決めて読んでみました。
みなさん結構ハマってくれて・・・トラはトラらしく、やせぎすのおじいさんは
おじいさんらしく・・・。動きはなかったけれど、ちょっとした劇を味わった気分でした。
こういうシナリオ的なセリフだけの本は、わりと敬遠してしまう人も多いと思うのですが、
一人でも十分イメージを思い描け楽しめます(私は大人になってからおもしろさを
知った)。子どものときからこういうスタイルの本にもなじんでいると、そりゃあ、
楽しめる本が増えるんじゃないでしょうか。自分は敬遠したけど、子どもたちには
敬遠せずに読んでほしいな、身勝手だけど。お話はインドのパンジャム地方の
民話で、それを『しろいゆきあかるいゆき』『きんいろのとき』などでおなじみの
トレッセルトが脚色したものです。
 
 
コーラ・アネット作 光吉夏弥・訳 ウォルター・ロレイン絵 1979(1965)年
ラルフは、ピーターがお誕生日にもらった小犬。人間ばかりの中にいたので、ラルフは自分は
人間の男の子だと思っていました。ピーター一家は、なんとか犬だとわからせるように、策を講じ
ますが、効き目なく。しばらくはピーターの弟として学校にも行きますが、ついに事実を知るとき
がきました。
 
読んでみて・・・
おもしろい。お話もおもしろいけれど、絵もおもしろい。とくに犬のラルフが
パイプを吸って新聞を読んだり、学校に行ってピーターよりいい成績を
とって、いい気になるところがおかしいです。そのいい気になったことが、
逆に犬だと知らされる原因になるんだけどね。でも、そりゃあ自分が犬よりも
成績が悪いと知ったら、ショックでしょう。これは、みんなで1ページずつ
声に出して読んでみました。

●全体を通して・・・●
昔からあるシリーズのわりには、参加者のみなさんもこのシリーズをあまり
ご存知なかったようで(私も知らなかった)。でも、読んでみたら、みなさん、
「おもしろーい!」と言ってくれました。「シリーズのほかのお話も読んでみた〜い!」
って。でも、通常店には1アイテムしかおいていないの。ごめんなさい、定番にできなくて。
地味だし、対象年齢といい、絵本よりも売るのが難しい(本音)。
このシリーズはペンギンも含めてあんまり書店の店頭では見かけない気がする。
学校図書館にはあるんだろうけど。だからなかなか出会いにくいのかな。
なかなか好評だったので、またの機会にほかのお話を取り上げてもいいかも。
 
 
<同シリーズの他の本>
『トミーは大いそぎ』 パーマー文 赤坂三好・絵 光吉夏弥・訳
『うさぎがいっぱい』 パリシュ文 ケスラー・絵 光吉夏弥・訳
『すずめのくつした』 セルデン・文 リップマン絵 光吉郁子・訳
『あべこべものがたり』 北欧民話 光吉夏弥・再話 箕田源二郎・絵
『ちびっこ大せんしゅ』 シド・ホフ文と絵 光吉夏弥・訳 
『゛なんでもふたつ゛さん』 クラッチ・文 ビーゼ絵 光吉夏弥・訳 
『王さまのアイスクリーム』 ステリット・文 土方重巳・絵
『ともだちができちゃった』 アシャロン文 パール絵 光吉夏弥・訳
『大きいツリー 小さいツリー』 バリー文と絵 光吉夏弥・訳
『しろいいぬ? くろいいぬ?』 クック文 池田龍雄・絵 光吉夏弥・訳
『だんごをなくしたおばあさん』 小泉八雲・文 平山英三・絵 光吉夏弥・訳
『でっかいねずみとちっちゃなライオン』 タイタス・文 ワイズガード・絵 光吉夏弥・訳
『ねことバイオリン』 キット文 ラッセル絵 光吉夏弥・訳
『わにのはいた』 ドリアン文と絵 光吉夏弥・訳
『ねこはやっぱりねこがいい』 ヒル文 かみやしん絵 光吉夏弥・訳
『クリスマスって なんなの?』 モンセル文 津田櫓冬・絵 光吉夏弥・訳
『わたしのおかあさんは世界一びじん』 ライヤー文 ガネット絵 
 
『おおきいツリーちいさいツリー』は絵本版も出ています。
 
 


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